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「…何点でしたか?」
アルテミスは、父の顔を覗きこむようにして聞いた。
「七十五点くらいだな。でも初めにしては上出来だ。そういえば最後に、手を胸に置いたのはどうしてだ?」
「私、決めていたんです。心の優しい国をこれからもずっと続きますように。こんな優しい鼓動を聞く民が、いつまでも居る王国でありますように。皆の鼓動を思いやれるように。そんな気持ちでバルコニーに立って、私の鼓動を聞いてみたら、早い!って、慌てて」
「はっはっは。王として合格だ。王は民を聞くこと。国は民でできている。その気持ちが備わっている。しかし、民衆の前では、むやみに言動や動作をしないほうがよい。噂が広がり、根も葉もないことまで肉付けされてしまうものだ。いろいろな噂があるが、良い噂はないと考えていたほうがよい」
「わかりました」
アルテミスは、少し目線を落とし、静かに言葉を返す。
すると、アルテミスの沈んだ顔は次第に明るくなり、父の腹心の顔をキラキラした眼差しで見た。
「私、合格頂きましたっ!」
両手を頭の上に上げ、喜びを全身で表現している。
「よかったですね。女王様」
父の腹心は、アルテミスをあやすように一緒に喜ぶ。
それを見て、父は優しく微笑む。
「明日から早速、女王のお仕事が始まるぞ。まずは、王国で働く皆に挨拶をしてもらうから、寝坊しないように」
「私なら大丈夫です。お父様こそ、お寝坊しないようにして下さいね!」
アルテミスは喜びが治まらないまま返事する。
「そのアルテミスが一番心配なんだが…」
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