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「おねぇちゃんたちまた来るよね?」
『また来るよ。』
「また一緒にあそんでね。」
『うん、約束する。』
幼稚園が遠ざかって行く。
子ども達はまだ手を振っている。
「それにしても桜ちゃん子ども慣れしてないね。今まではどうしてたの?」
『雑用とかしてた。』
「もったいないなー。
そもそも桜ちゃんってどうしてこのクラブにしたの?
高1で副部長だし。」
『このクラブに入ったのは誰かの役に立ちたかったから。
人と話すのは苦手だし、目つきが悪くていつも怖がらせてしまう。だけど、直接話さなくても手伝いくらいはできる。
あと副部長は基本誰もやりたがらない。うちのクラブ、会計や書記いないから雑用は全部副部長に回される。
だから、3年生はもちろん誰もやらないし、激しい押し付けあいになる。』
「押し付けられたの?」
『うん、まぁ、そうかも。でも、予算を計算するのも企画を決めるのも人数分配するのも慣れたら苦じゃない。
雑用は得意だし、それくらいしか役に立てないから。』
「そんなことないのに。」
雫がボソッと呟く。
『ん?なんか言った』
「いや、なんにもー」
桜は首をかしげた。
「…それにしても今日は桜ちゃんの色んな顔が見れて楽しかった!」
『なんだそれ。』
「焦ってたねー。桜ちゃん。あんなに動揺している姿が見られるとは!」
『やめろ。』
「桜ちゃんって勉強も出来るし、クールなイメージあったからさ。
まぁ、運動できないけど。
あのとき、落ち込んだ子犬みたいでちょっと可愛いなって思ったよ。」
『運動は関係ないし!
矢田はしっかりしてるけど、時々抜けててとんでもない事しでかす。
あと、運動が得意、勉強全然できないけど。』
「私中学までは一応運動部だったから!
勉強出来ないのは言わなくていいの!」
『お馬鹿矢田ー』
「もう!桜ちゃん!」
そう言い争いながらも二人はくすくすと笑い合った。
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