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俯いてる顔をのぞき込むと、
必死で泣くのを我慢してる。
「風邪って怖いんだよ。
風邪で人間、死ぬんだから。
おばあちゃんだって、風邪で死んじゃった。
ちゃんと早く手を打って、完璧に治さないと。
もし、なつにぃが
おばあちゃんみたいになっちゃったら、私、」
とうとうゆずちゃんの目から、
大粒の涙が零れ落ちた。
……僕は莫迦だったと思う。
たかが風邪で、
ってえらく心配するゆずちゃんを、
ちょっと鬱陶しいとかも思ってた。
けど、
ゆずちゃんにとっては「たかが」ではないんだ。
おばあちゃんの直接的な死因は
心不全だったけど、
原因は風邪からきてる。
夜に「おやすみ」って笑ってくれたのに、
朝になって冷たくなってたショックは、
かなりのものだったんだろうと思う。
お葬式のあと暫くの間、
仕事に行くのも躊躇うほど、
ゆずちゃんは僕にべったりとくっついてた。
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