風邪をひいた日

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ぼんやりとまわりを見渡すと、 この世の終わり、 みたいなゆずちゃんの顔がみえた。 「注射もしたし、すぐによくなるから。 夕葵ちゃんは心配しすぎだよ。 看病する人間がそんなだと、 反対に病人はゆっくり休めない」 「……はい。すみませんでした」 「おばあちゃんのことがあるから、 心配なのはわかるけど。 無理しないで、 ちゃんと養生すれば治るんだから」 「……はい」 「まあ、夕葵ちゃんを心配のあまり、 救急車を呼ぼうとした親父も親父だけど。 とにかく、今夜一晩寝てれば治るから。 わかった?」 「……はい。 ありがとう、ございました」   しばらくして、 若先生を見送ったゆずちゃんが戻ってきた。 やっぱり青い顔で口はへの字に曲がってる。 「……何時?」 「……十一時半」
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