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「往診なんて頼むことなかったのに。
若先生に悪いことしちゃったね」
あたまを撫でようとすると、
出した手を痛いくらいに握られた。
「……だって」
「ゆずちゃん?」
「だってなつにぃ、
どんどん熱が上がっていくし、
凄く苦しそうだし、
もし、もし、
このまま死んじゃったら、って……!」
……困ったな。
ぎゅっとしてあげたいんだけど、
注射が効いてきてるとはいえ、
まだ起き上がるのは結構きつい。
ゆずちゃんの目からは、
いまにも涙が零れ落ちそうだ。
「約束したでしょ?
ゆずちゃんを一人にしない、って」
「でも、でも……!」
とうとうゆずちゃんの目から涙が落ちる。
頑張って腕を伸ばしてどうにか抱き寄せると、
堰を切ったかのように、
わんわん泣き出した。
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