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女の子だし、
きっとドレスくらい着たかったに違いない。
なのにゆずちゃんは文句も、泣き言もいわない。
ただ、
自殺した子に自分の境遇を重ねてみてしまった、
あの一度だけ。
あの一度だけしか、
籍を入れてから弱音を吐いてない。
だから、反対に少し心配。
「……おはよう」
洗顔をすませるために一階に降りると、
すでに起きていたゆずちゃんが顔を曇らせた。
「おはよう。なつにぃ、どうしたの?」
「たぶん風邪だと思うんだけど。
あとで薬、ちょうだいね」
「……ちょっときて」
洗面所に向かおうとすると、
袖を引っ張られて、ソファーに座らされた。
「熱は……ないみたい?」
そういと、自分のおでこを
僕のおでこにくっつけてきた。
……やばいって!反対に、熱が出るよ!
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