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でもゆずちゃんはなぜか、
小さな子供が母親を求めるように
僕についてまわって、……まるで、
おばあちゃんが亡くなったすぐあとに
戻ったみたいだった。
病院で受付をすませて、待合室の椅子に座る。
ゆずちゃんも隣に座って、
僕の手を不安そうに握ってる。
いまにも泣き出しそうなゆずちゃんを、
どうにかしてあげたいんだけど、
なにがゆずちゃんを不安にしているのか、
僕にはわからなかった。
そのうち呼ばれて、診察室に入る。
一人で行こうとしたんだけど、
ゆずちゃんが嫌々するもんだから、
二人で診察室に入った。
若先生は僕たちをみて
ちょっとびっくりしてたけど、
すぐに柔らかい笑顔に変わった。
若先生――青山先生には、
いまは滅多に顔を見せない、
大先生がおばあちゃんと友達だった
こともあって、
僕もゆずちゃんも小さいときから
お世話になってる。
大先生にいわせれば、
ゆずちゃんは自分の孫よりも可愛いらしい。
「今日はどうしたの?」
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