第1章

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翌日。 朝日が眩しく部屋の中に差し込み、思わず目を細める。 カーテンが全開になっていて リューマは隣にいなかった。 コーヒーを淹れるいい香りと ベーコンが焼けるような香ばしい匂い。 もしかして、リューマ、朝食作ってる? 「おはよう」 キッチンに入ると、リューマがフライパンを片手に持ったまま振り返った。 「おはよう、ミユキ。 ぐっすり眠れた?」 「うん。リューマ、よく起きれたね?」 「専属のマネージャーが仕事降りたから、お陰様で自己管理出来るようになりました。 ………なんて、今日はオレの仕事納めだから、気合いが入ったのかな」 「仕事納め? そうなの?」 「ふ。ミユキ、最近一切オレに関わってなかったから知らなかっただろ」 「知らなかった………Grosslyも? 」 「とりあえず、里奈とは今日、年明けにやる春コレの打ち合わせして終わり。 あとは撮影も何も入ってない。 Grosslyはどうだったかな? 特に大きな仕事は入ってなかったと思うけど」 そうか………。 もうすぐクリスマスだし、 世間は師走に入るのか。 私は大晦日まで仕事が入ってるから まだ年末モードにはなれなかった。 「オレやっと自分の時間作れるから、家の事するよ」 リューマは素早く、焼いたベーコンとスクランブルエッグをお皿に盛り分けた。 「ありがとう………」 最近はお互い忙しくて、ほとんと家に居る事がなかった。 掃除だって適当だったし。 「さ、食べよ?」 焼いたトーストと淹れたてのコーヒーもテーブルに並べられる。 リューマと私は手を合わせて「いただきます」をした。 「久しぶりだな。一緒に朝メシ食べるの。」 「だね。やっぱりこうゆう時間は必要だね」 「だろ? 夫婦なんだしさ。メシが一緒じゃなくなったら致命的でしょ。 ところでミユキ、今日は一日空いてるんだよね?」 「うん、空いてる」 「じゃ、打ち合わせ終わったら、デートしよう」 リューマの何気ない提案に驚いて、食べていた手を止めてリューマを見た。 リューマはニッコリ微笑んで、トーストを頬張っていた。
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