第1章

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久しぶりに朝からリューマと肩を並べて、リューマの打ち合わせに同伴するために電車に乗り込んだ。 もちろんしっかりリューマと私の手はずっとは握られている。 昨夜は思い存分愛し合って、 私はリューマを許した。 やっとモヤがかかった感情がなくなり、 気持ちがリセットされて 清々しく、リューマの美しい横顔を見つめている。 「そんなに見つめるなって。穴があく」 リューマが私のオデコに唇を押し当てた。 「り、リューマっ!」 ここは満員電車の中なんだってば。 こんな事するのは高校生くらいだよ。 「ミユキは人の目気にしすぎ」 「リューマはもっと気にしてよ!」 「芸能人辞めたから気にしなくていいの」 「そうゆう問題じゃなくて、常識人として気にして」 リューマはやれやれ、と言うように私を見下ろした。 こっちがヤレヤレだよ。 ほら、高校生と目が合った。 『あの人、本橋ルイじゃないー?』 『朝からイチャイチャして、あの女の人顔真っ赤ー!』 『ルイさん、実物超カッコイイ! 雑誌で見るより断然いいね』 『カッコイイ!ヤバイヤバイ!』 『ルイさんていくつ?25だっけ?』 『もっと、下じゃね?』 『あの人彼女かな』 『年上の女の人がタイプなのかぁ』 『だったらうちらは恋愛対象外?』 ヒソヒソ、しっかり聞こえてますよー。 ちなみに私はリューマより年下ですよー。 リューマはそんなに若く見えるのかぁ。 ………いい事だけど なんだか、それはそれで自分と釣り合ってないようでイヤだな。 私たちは電車を降りると、 リューマのお気に入りのオーガニックドーナツを差し入れに買って、 デザイナーの里奈さんのショップ兼事務所に足を運んだ。 「おはようございます」 ショップに入り螺旋階段を登って行くと、里奈さんや、他のモデルさん達が和やかに談笑していた。 「あ、ミユキさん、お久しぶり! 」 「お久しぶりです」 久しぶりに見る里奈さんはスッキリと髪を上にお団子でまとめて センスのいい着こなしで身を包み、 元モデルさんというのもあって スタイルは抜群で全体的に華があった。
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