第1章

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「猫かぶってると、ストレス溜まるぞ。 どうせバレるんだから、なんでも言いたいこと言ってた方がいいって」 「うん、そうだよね。 言うようにしてるけど、やっぱりどうしても、愛想尽かされたらイヤだって思うから臆病になる」 「いや、どちらかといえば、ミユキがリューマに愛想尽かすところだと思うけど」 「私が愛想尽かす事はない。私、リューマの事本当にすごく好きだから。」 「………………」 シラ………けた。 ミユキって本当に無神経なヤツだよな。 オレに正面からそれ言っちゃう? 「ヨシ、色々話聞いてくれてありがとう。なんだかスッキリした」 ミユキは憂いも含めた笑顔でニッコリ笑って見せた。 「オレは何もスッキリしなかったけど」 むしろ、ムラムラ、モヤモヤ。 「ごめん。一方的に話ししちゃって。 N店に戻れるように、私も考えてみるね。 甘えちゃいけないって思うけど、ヨシはなんでも私の事分かってくれているから、安心しちゃうんだよね。 私もヨシが傍にいてくれてたら心強い。 でも、リューマの事で愚痴ってたの内緒ね。 機嫌悪くするから」 「わざわざ言うかよ。 また輪にかけてオレとミユキを離そうと躍起になるから」 「リューマも気にしすぎなんだよね。ヨシの事。 私たち、本当に過去の事なのに。」 「それはミユキだけだろ。オレはミユキの事がまだ好きだって言ったよね?」 「そ、そんな事言わないでよ。 こうやって会えなくなるから」 ミユキは顔いっぱいに困った顔をした。 「会えなくなるのは困るから、言った事は撤回する」 オレは胸が締め付けられる苦しさを誤魔化すように、笑った。 そうだ。 会えなくなるのは辛いから。 好きだと言う気持ちは忘れよう。 リューマから奪えるものなら奪いたいけど、 ミユキがリューマにベタ惚れだから リューマに愛想尽かさない限り オレの入り込む隙間は 今のところ全くない。
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