26人が本棚に入れています
本棚に追加
「それは、事務所が向こうに都合よく契約書作るからさ」
ムスッと頬を膨らませる。
「今はオレの事は、いいんだよ。ミユキの、軽率な行動の話をしてるんだから」
「私のどこが軽率なの? 職場の人とご飯食べただけなのに」
私も負けずとムスっと頬を膨らませる。
それを見てリューマは「はぁー」盛大な溜め息を吐き出した。
「ほんっとに自覚ないのな?
職場の人って言うけどセックスした元カレなんだよ?
そんなヤツと食事なんて、夫のオレが怒って当然だろ!」
リューマが
形の整った眉尻を思いっきり吊り上げて
忌々しく言葉を吐き出す。
そうかもしれないけど………。
「私にとって、それは過去なの!
私とヨシは何もないんだから
仕事の事には干渉しないで。」
「そんなの信じられると思う?
何もないなんて保証は何もない。」
「リューマ、ストレス溜まった捌け口を私に向けないでよ。
早く事務所に仕事を託して、マネージメントしてもらった方がいいと思う」
「だから、オレの事は今はいいっつってんだろ!
オレの気持ち無視しないでよ。
オレは酒を呑まないで帰って来たっつーのに
ミユキはセックスしたヤツと呑気にご飯なんか行ってるし。」
セックスしたヤツとって………。
そんな風に言って欲しくない。
下唇をキュッと噛みながら、リューマに軽蔑する目を向ける。
ダメ………。
涙出てきそう。
リューマは溜め息をついて言葉を続ける。
「夫婦って何の意味があるの?
お互い仕事して、すれ違って
シたい時に拒まれて。」
リューマは
睨みつけていた瞳をフイッと横に逸らした。
確かに………
最近はすれ違ってばかりいた。
私とリューマは今お互いのそれぞれの仕事をしている。
リューマはとにかく仕事が不規則だった。
だから、寝る時間も起きる時間もバラバラ。
私だって少し寂しかった。
でも我慢していたの。
自分が距離を置こうと提案したから。
「ミユキは、オレの事好き?」
リューマは真っ直ぐ、私を見据える。
「もちろん………。すっごく好き」
私がハッキリそう告げると、リューマの表情がフッと和らいだ。
リューマの事がすごく好き。
好き過ぎて苦しいくらい。
今日だって里奈さんとの事でずっとヤキモキしてた。
最初のコメントを投稿しよう!