第1章

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「オレもすっごいミユキが好き。 ミユキがマネージャーを辞めて、自分の管理が大変だとかってゆーより、ミユキとほとんど顔合わせないのが、オレは辛いんだよ。 だってオレたち新婚だよ、まだ?」 リューマが右手を伸ばして私の髪に触れた。 「しかも、オアズケ三昧だし。 ミユキと結婚した意義を見出だせないよ、こんなんじゃ。」 眉をひそめて、じっと視線を真っ直ぐにぶつけてくる。 瞳は憂いを含んでいて、リューマの瞳には困惑した自分が映りこんでいた。 「ミユキの強情っぷりにオレ自分を見失いそう………」 一瞬泣きそうな表情を見せて リューマはイスから腰を少し上げると、 テーブルに手をついて 前屈みになって綺麗な顔を近づけてきた。 キスーーーーされる。 リューマの唇が ゆっくり重なって 温かくて柔らかい唇の感触が、 私の胸につっかえていたものを 溶かしていく。 自分の意地っ張りが、 ずっとリューマを拒み続けて 本当は、リューマとずっと触れ合っていたいのに 素直なれなかった自分。 私がすんなり唇を受け入れた事に リューマは少し驚いたように、 目をうっすら開けて私を見た。 私も目を開けたままでいたから、 物凄い至近距離で目がバチっと合った。 そしてリューマの瞳が微笑んだように見えて その瞳は閉ざされ、 リューマの舌先が私の唇の内側を ゆっくりなぞった。 “オレを中に入れて そして感じて“ ゆっくり口を開けて リューマの生温かい舌を受け入れた。 “ミユキ 愛してる“ そう囁かれてるような、 優しい優しい リューマの舌先の愛撫。 私の舌は翻弄されて 体の髄が痺れてくる。 “私も愛してる“ 「………っ………この体勢疲れるわ」 リューマが唇を離した。 心臓はドキドキと煩く高鳴ったまま、 顔を高揚させて リューマを見つめた。 そんな私の顔を見て リューマはフッと口元を緩める。 「素直なミユキ、ちょーーーーー可愛い」 そう言われて、一気に耳まで赤くなる。 意地を張り通していた自分が滑稽に思えて、 無性に気恥ずかしさが込み上げてきた。
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