第1章

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素直になりきれない自分自身にもどかしさを感じながらも、 どこかまだ妥協したくないんだって意地が引っ込まずにいた。 リューマの事が大好きで 世界一愛していて 高校の時から特別な人で そして、私の旦那さま。 何故それだけ揃ってリューマは唯一無二の人なのに リューマの過ちを許せないでいるんだろう? リューマは相川さんとは関係はしていなかった。 それは、ちゃんと信じてあげる事が出来るのに。 また同じように傷つく日が来るんじゃないかって いつか、リューマが私から離れていってしまうんじゃないかって 自分に自信がなくて リューマが優しく、親しくする人に 嫉妬していた。 今は最近コレクションで頻繁に会うデザイナーの里奈さんにヤキモチを妬いてしまう始末。 私がいない間に二人が交わしてるであろう会話が気になったり、リューマの接し方が気になったり 里奈さんも独身だし、スタイルが良くて魅力的な人だから。 夫婦だからって安心できるもんじゃない。 いつだって心はころころ変わるものだと思うから。 ヨシの時は、気がラクだった。 こんな思いに自分が蝕まれる事はなかった。 いつもいつも受け身だったからかな。 リューマの事が好きだったのは ヨシと付き合ってる時も変わらなかったから、ヨシに執着する事もなかった。 いざ、欲しいものが手に入れば、今度は失いたくないと苦しむ。 人って執着して固執する生き物なんだね。 私は着替えを持って、バスルームに入った。 脱衣所で衣服を脱ぎ捨てると浴室の扉に手をかけてゆっくり開けた。 そうすると、湯気が脱衣所に立ち込めて、視界はモヤがかかってボンヤリ、リューマがバスタブに浸かっているのが見えた。 「ウェルカム」 リューマがニヤリと微笑んだ。
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