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ヤシガニ達は夜の間に、茶色い若しくは似たような
食べられる者だけを山ほど海岸へ運びました。
コノノはいつでも世界の果て。
十一回の勉強と冬二回分の勉強だけ。
それだけでは、世界に入れない。そうなんだ。
その事が悲しかったのかもしれません。誰もいない事。
コノノにとっては、何よりも敵でしたから。
《コノノ。誰かが道を創るよ。一つじゃない道。》
*
世界の果てにまた朝が来ました。ミミリハ先生が
用意してくれたご飯もおいてあります。でも。
コノノは何も食べる気持ちも、何も描く事もできずに
海をみていました。
『へぇ。朝飯食わないんだ?』
「どこ?だれ?朝?」
『僕だよ。イルカ族のダンサー、トルトでコノノの
友人だろう?もう、競争の約束を忘れたのかい?』
「トルト?どこ?どこ?」
『僕はいつも、世界中の海にいるんだよ。』
海辺近くにトルトを先頭に10匹の純白イルカが、
コノノを笑っていました。
『競争は僕の勝ちみたいだね。ミミリハ先生の
ご飯、食っちゃいな。コノノは負けたのだから、
僕等のシキタリ通りに、少し勉強してもらうよ。』
「勉強?」
言いながらもコノノは朝ごはんの木の実を食べて、
美味しいって思いました。先生、ありがとう。
ちなみに先生と仲間達はまだ寝ています。
『うん。約束は約束だからね。コノノは僕と同じ位
泳げるようにならないといけない。本当は苦手だって
最初にすぐわかったよ。でも駄目だ。約束だから。』
「うん。あ、はい。(モグモグ)」
『イルカ族、しかも最高の選手トルトと泳ぎたい?』
「うん!もちろん!」
『じゃあ、食べたら乗りな。よしよし。いくよ。』
「ど、どこへ?!」
「泳げる人間がいる場所へさ。」
島から空から落ちて海へ。島から海を抜けて陸へ。
地図を描く暇さえ無い。イルカのダンスで海を駆ける。
まだコノノの世界は始まったばかり。そうなんだ。
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