第1章

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 コノノの世界は始まったばかり。急ぐ事はないけれど先へ。 世界の果てまで。いつも世界の中心だから。もっと先へ。 目の前に二つほどの道。他にもあるかもしれないけれど今は この二つしかないみたいだから、ノートに地図を描きます。  つまりは一つは戻る道、それさえも、あの高い空の果てです。 誰かが続きを教えてくれます。それは風だったり匂いだったり。 『さて、そなたはどちらの道を選ぶの。それとも動かずに朽ち 消えるまでを、時間をかけて苦しみ過ごすの。それも良いけど、 違うのなら。この森を抜けるのか、避けるのか選ぶのが良いよ。  コノノ。森と海岸を好きに歩いて。それは心地よいから。 好き勝手に自由気ままに、耳を澄まして。気持ちを集めてね。』              *  朝になりました。太陽が出てきたら朝です。これは謎です。 太陽が出てくると朝になるというのです。誰が決めたのか、 それは知りませんし、お母様も本棚の本にも書いていません。  更に難しい事に曇ったり雨だったり、雪が降っていて、 太陽が見えない時でも、ちゃんと明るくはなります。朝です。 但し、その場合は少しだけ、普段より暗かったり寒かったり、 積もった雪が、逆に眩しく真っ白に光ったり。凍った池の鏡。  だから暗いとか寒いとか濡れるとかは、朝と少し違うって。 朝っていうのは、夢から醒めて……夢は世界の果てなの? 夢から朝に呼ばれて、起きたら世界は始まるのかな。  コノノは初めて世界の果てじゃない海岸にいます。 地図を描いています。青い空、白い雲。前から知ってます。 青い海、白い砂浜。これは初めて見ました。  最初のお友達で、詩人のトルトが教えてくれた海百個の詩。 次に勇者で物知りな先生の、ミミリハ先生の縄張り、砂浜。 これはつまり、今日が良いお天気だっていう事。朝って事。 書き忘れた事を、書いて「競争」へ向います。              *    昨日のお昼ごはんをミミリハ先生に貰ってお腹一杯。 けれど、友達のトルトと約束した競争。沢山食べたら勝ち。 歩けば多分お腹が空くのでしょう。  コノノは森へ入ってみました。青と白の次に大きな色。 緑の森へ。世界の果てについての地図を描いておきました。 だって、緑って凄いのです。木々は前に居た場所で、 何本かは見ました。木の実をくれる優しいお爺ちゃん達。
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