伊豆の踊子 天城の紳士

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「あ、ありがとうございます……。」 彼は湯から足を引き上げ、濡れたまま裸足で私を助けてくれていた。 「良かった……!! 怪我はありませんか?」 暗がりの中でもわかる。 優しく垂れた目と高い鼻が、東屋の下に放置されたノートパソコンの光によってくっきりと浮かび上がっていたからだ。 言葉も態度も、昔と同じ。 紳士的で大人びている。 できるなら、こんな人と結婚したかった。 「では、お気を付けて。」
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