伊豆の踊子 天城の紳士

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舞台を終えた後で見かけた彼は、この旅館のロビーでノートパソコンを開いていた。 その異様な姿だけがはっきりと脳裏に焼き付き、今でも私は、あの時出会った彼の事を探している。 手掛かりは、ノートパソコンと優しい笑顔。 そんな僅かな情報で、かつて一度しか会った事のない思い人を見つけ出せる訳などなかった。 この恋は不毛で無謀。 もう、私もいい歳だ。 いつまでも、一目惚れから始まった片思いにうつつを抜かしている訳にはいかない。
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