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「皐月、今夜は早く休みなさい。
明日は大事な縁談なんだから。」
「はぁい。
わかってるって。」
着物を解き、いつも通りのTシャツとジーンズに戻る。
化粧を落とし、すっぴんとなった私。
その顔は、“舞姫”の私とは似ても似つかない地味な顔。
―――これじゃ、なかなか彼氏ができない訳だ。
鏡を見つめ、深い溜め息を吐く。
この10年間、ずっと彼氏がいなかった。
それでも、由緒正しき家柄の娘。
数年前から、熱烈なオファーがあった事は否めない。
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