伊豆の踊子 天城の紳士

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部屋を出て、1階にあるロビーへ向かう。 老舗旅館と言えど、その姿は時代と共に少しずつ変化していく。 昔ながらの佇まいを見せていても、その内部は、まるでどこにでもあるホテルのよう。 ―――10年前は、こんな雰囲気じゃなかったのに……。 ロビーの自動販売機でオレンジジュースを買い、ふとウィンドウ越しに見える外の景色に目をやる。 日没直後でわずかに明るい。 遠くに見える竹林の影が、ぼんやりと湯煙によって霞んで見える。 「あ、そうだ!」
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