伊豆の踊子 天城の紳士

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―――あ、誰かいる! 良く見ると、そこには1人、湯の中に足を浸す先客がいた。 少しずつ近付いていく距離。 その距離が50メートル程になった時、私はその人物の佇まいに違和感を覚えた。 ―――なんで、あんなに明るいの……? 青白く照らされている彼の顔。 その手には、足湯という場所に相応しくない、デリケートで無機質なノートパソコンの姿があったのだ。 ―――まさか……ね? 胸がぎゅっと締め付けられる。 まさか、また会えるなんて思いもしなかったから……。
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