第一章 選択

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『まさか未だに親やお兄さんがプレゼントしてくれた、 なんて思ってないよね? そんなわけないでしょ、真夜ちゃん』 分かってる。 『真夜ちゃんは“いらない”子だから、 真夜ちゃんのために余計なお金なんか 使うわけないでしょ?』 分かってるって。 『真夜ちゃんはこの家の邪魔者なんだから』 「うるさいっ!!!」 金切り声を上げて、真夜はゲーム機を大きく振りかぶった。 まるで全てから逃れるようにそれを放ろうとした瞬間、 「っつ!」 プツっと、ゲーム機を握る指先に何か鋭いものが刺さったような、鋭い痛みに思わずゲーム機を床に落とす。 ジンジンと熱をもった指先を見ると、そこには赤い血がぷっくりと浮き出ていた。 「な、なに?!」 最早恐怖しかないこの空間に、パニックに陥りかけながら叫んだ真夜に、床に落ちたゲーム機が語り掛けてくる。 『致死性の毒だよ?』 ――――ドク。
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