第6章

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フードの中の耳が少し擦れ、僕は思わず首をすくめた。 そんな僕を見てへらっと笑った円日くんはなおも手を止めず、撫でながら僕に話しかけてくる。 「のっちなぁ、ちゃんと自分の気持ち言わんと。 俺超能力ないし、言葉にせんとわからんのやわ。」 「で、でもっ、説明するの、む、難しくて……。 それっ、に、言ったら、まどか、くんに、嫌われそうで……。」 優しい手と声についにしゃっくりがあがった。 僕はもうすでにいっぱいいっぱいだ。 もし少しでもこぼれてしまえば、きっと全て吐露してしまう。 イヤイヤと首をふり、再び俯く。 「………とりあえず、ここ、職員室前やし移動しよか。」 円日くんのその新たな提案に頷き、僕は重い腰を上げた。
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