690人が本棚に入れています
本棚に追加
/143ページ
有栖川を睨みながら、ずるずると後退する。
一方の有栖川は僕の睨みなんか痒くもないというふうに、変わらず大股で僕に詰め寄ってくる。
トンっ、と背中が壁に当たった。
もう、後ろには下がれない。
そんな逃げ場がなくなった僕を嘲笑うかのように、有栖川が壁に両手をつき、僕を閉じ込めた。
「もう、逃げれないな??」
馬鹿にするように楽しそうに笑う声が、目の前に落とされる。
い、嫌だ!!!!!!!!!!
僕はモルモットなんかじゃないっ!!!!!!
咄嗟に僕は、横に立っていた点滴を吊るすようなスタンドに手を伸ばし、有栖川に向かって思い切り投げつけた。
油断していたのか、スタンドが有栖川の頬に命中した。
「ッつ……。」
有栖川は少し眉間に皺を寄せ、顔を歪ませた。
しかしそれも一瞬のことだった。
ダンッと僕を壁に押し付け、有栖川は首を思い切り絞めてきた!!!!
「かはっ………ぐぅっ!!」
「手荒にされたくなかったら、大人しくしてくれないか。」
気圧の下がった低い声で、有栖川が怒っていることが分かった。
首を絞められ酸素が全く入ってこない苦しさに視界が歪んでくる。
最初のコメントを投稿しよう!