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苦しくて体がガクガクし始め、意識が飛びそうになった瞬間、首を絞めていた手が離された。
「げほっげほっ、ぐっゲホっ!!!!!!」
押さえつけられていた腕も離され、支えを無くした僕の体が崩れ落ちた。
やっと得られた酸素を求めて咳き込み、肺がヒューヒューと膨らむ。
有栖川は抵抗する力を無くした僕を、さっきまで寝ていた簡易ベッドに引きずっていった。
荒々しく寝台に投げられ、咳で細かった息がさらに詰まる。
有栖川は僕の両手に手錠をかけ、膝を曲げ畳んで両足を革のバンドで固定した。
僕がやっと咳き込むのが収まる頃には、有栖川に向かって足を広げるように縛られ、抵抗どころか全く身動きができない状態になった。
僕はせめてもの反抗で有栖川を睨んだ。
これからされるであろう事への危惧感、恐怖、怒り。
それらが僕の体を震えさせ、怯えさせた。
「俺も進んで手を挙げたくはない。
ただ、粘液調査をさせてほしい。」
あくまで有栖川は冷静に、着実に実験を進めていく。
「口を、開けてくれないか。」
有栖川はガーゼを手に持ち、寝台の横にたった。
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