第2章

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こっ、これなんのニオイ!? この香り、ヘンになる!!!!!! 香りは息が詰まりそうなほど濃くて甘い。 理性を押し潰して、僕の熱をどんどん高めていく。 妖美や魅惑とかじゃない。 そんなものじゃない。 そんなものじゃ足りない。 もっともっと淫靡で尾篭(びろう)で、身体の芯ごと揺さぶられるような強烈な香りが、僕を熱く淫らに蝕んでいく。 ━━━━━━欲しい。 何を求めているのか自分でも分からないけれど。 欲しくて欲しくてたまらない。 今すぐもらわないと、死んでしまう。 でもそのもらう『何か』がわからない。 「なにっ、やっ、ハアっ、これっ……!?」 「『CUBE』は言わば細胞侵食ウイルスみたいなもので、お前が飲んだのはラビット型だ。 その細胞元のウサギはジャパニーズ・ホワイトの『メス』。 そして俺は今、自分にウサギの『オス』のフェロモンを抽出したものを自分にかけた。 つまり━━━━━ お前が欲しがってるのはこの俺だ。」 有栖川は心から楽しそうに口を歪める。 傍から見れば、笑ってるようにも見えるかもしれない。 視界が滲んで、ハッキリ見えないけれど。 「確か、菜乃、と言ったな。 菜乃。 ━━━━━━俺が欲しいか。」
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