聖炉の女神

95/191
前へ
/416ページ
次へ
「とりあえず壁は無敵の盾とライトで担当しよう。キースは楽園と剣闘士のメンバーを使って攻撃を頼む。ディエゴ、マルティウス、行けるな?」 「サー!」 「ってちょっと待て!俺も壁なのか!?」 「あの……私はどうすれば……?」 アルマダがスパッと簡単な人員配置を通達すると、キースは頷いて突然の襲撃に浮き足立っている楽園と剣闘士の構成員の元へと走り去っていき、ルナの白魔法によりHPを八割方回復させ、戦線復帰してきたディエゴとマルティウスが同時に了解の声を上げる。 だが二人ほどこの人員配置に納得せず、異議を申し立てる。 もっとも、一人は何も言われていないことへの疑問だったのだが。 「ルナはすまないが今回は後方支援に徹してくれるか?今は≪白魔法≫スキル持ちが少なくてな。ライトはゴチャゴチャ言わないでさっさと働け、それが周りの男共の為だ」 「待遇の改善を切に申し立てる」 「却下だ。それに、奴さんは待ってくれんみたいだぞ」 俺の切実な異議の申し立てをすげなく却下したアルマダがガシャリと鎧を鳴らしながら顎を空中に向けてしゃくって見せると、そこには嘴を下に向け、俺たちの方へと突っ込む体勢を整えている大鷲の姿があった。 「そのうち労基に訴え出てやる……!」 「やれるもんならやってみな。ほら、来るぞ」 半泣きになりながら抗議するも、大鷲は待ってはくれず上空からまたも急角度でこちらに突進してくる。 先程の≪トマホーク≫によって憎悪値を上げてしまったようで、テレウスは集まりつつある他のプレイヤーには見向きもしない。 確実に狙われていると察し、俺は回避を諦め≪スラッシュ≫のプレモーションを作り上げる。
/416ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11352人が本棚に入れています
本棚に追加