11352人が本棚に入れています
本棚に追加
テレウスが再び空中に舞い上がると、攻撃隊指揮のキースと防御隊指揮のアルマダがそれぞれの部隊へ泡を飛ばすかのように大慌てで指示を出す。
二人の指示を受けた各部隊は、若干の焦りが滲む二人の指示にも的確に従い、前線に出ていた攻撃隊は速やかに前線を離れ、防御隊は盾持ちのプレイヤーを前に出し、その後ろに重量武器持ちが控えるという即席の二段構えの防御壁を作り上げる。
「っと、これはちょっとマズイな。ライト!俺たちも行くぞ!」
「わかった!」
攻撃隊の撤退は完了したものの、転倒したプレイヤー達が数人置き去りになっていることに気がつくと、俺たちも短い休憩を切り上げ前線に向かって走る。
現実世界ではもし転んでも余程のことがない限りすぐに立ち上がる事が出来るが、この仮想世界における転倒(タンブル)はペナルティが設定された阻害効果(バッドステータス)。
プレイヤーのステータスによって効果時間はまちまちであるものの、全プレイヤー共通して転倒した瞬間から強制的な行動停止(スタン)が課せられる。
効果時間の正確な換算式は明らかになっていないが、これまでのプレイヤー達の検証によると装備やストレージに詰め込んだアイテムの重量とプレイヤーの体格に応じて設定される仮想体重量を加算した、アバターの総重量が重くなれば重くなるほど課せられるスタンの時間が長くなるとのこと。
幸いと言うべきか、転んだプレイヤーの中には装備重量がかさむ全身金属鎧(フルプレートアーマー)や重量武器を装備した、無敵の盾所属のプレイヤーは居らず、軽金属や布、革装備が主体の比較的軽量そうに見えるプレイヤー達ばかりだが、それでも最前線に出てくるだけの実力と装備を持つ者達。
装備の優先度は言わずもがな、ストレージに詰め込んでいるアイテムもかなりの量になる筈。
最初のコメントを投稿しよう!