徳山理緒 ~暗黒~

3/11
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
優希と俺の関係はそこらへんにいる友達と変わらない。 ただ、話して、笑って、遊ぶそれだけだ。 しかし3年になった時、優希は自然と俺を避けるようになった。 理由は聞きかなかった。 もし聞いたとして俺に一体何ができるのだろうか。 俺は小説や漫画に出てくる主人ではない。 そして中学生を卒業してから優希に一度も合わなかった。 俺は入学試験を受け無事に公立高校に入ることができた。 とは言っても、普通の高校だ。 先生達にもっといい高校に入ってい見ないかと勧められたが俺は断った。 正直、昔にいろいろあり過ぎて普通の暮らしが羨ましかった。 だから少しでも普通に生きて幸せになりたい。 それが俺の願いだった。 高校ではいつも通りテストでは高得点を叩き出したり、あり得ない身体能力で学校中を驚かせた。 結局、中学と同じように俺に話しかけてくる人はいなかったが十分な生活を送っていた。 しかし、幸せはそう長くは続かなかった。 祖父さんが死んだのだ。 床に寝そべっていて、体は鉄のように冷たかった。 心筋梗塞で祖父さんはこの世を去った。 そして、あとを追うように後日、祖母さんも息を引き取った。 家には俺だけしかいなかった。 祖父と祖母の部屋を過ぎ去り俺の部屋に入り、身をベットに投げた出した。 仰向けに寝ている俺の前には病院と同じ白い天井があった。 俺はただひたすら泣くのを我慢した。 辛く悲しく苦しかった。 家族のような暖かい存在がまた消えたのだ。 泣いたって良かったのかもしれない。 でも泣いたって何も起こらない。 泣いたら誰か助けに来るのか。 …………誰も来ない。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!