第六章:君がための微笑み

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「瑤子さん……」  尚斗が瑤子を名前で呼ぶようになったのは、つい最近のことだ。 「なんか、オレに隠してる?」  そのひとことに、手にした食器がガチャンと音を立てた。 思わず、動揺してしまった。 「……そんな風に、見える?」  手を止めて、尚斗を見返す。 心のうちを見透かすような純真な瞳が、こちらを見ている。  瑤子は、その瞳から逃れるように、目を伏せた。 (言ってしまおうか……)  自身に問いかける。 少なくとも今回の件は、尚斗に黙っておくというのは、心苦しい。 これ以上、彼に対して隠しごとを増やしたくなかった。
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