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「彼、いいじゃないですか。名前をつけてはいかがです? 能力が強化されますよ」
バージルさんはニコニコして言った。
「言ってる意味がさっぱりわからないんですけど」
と、わたし。
ダンジョンのルールはいちいち不可解だ。
バージルさんはわたしの疑問を無視して少年に近づく。
「マキナさんと、このダンジョンをしっかり守ってください。よろしいですね?」
バージルさんは少年に向かって言った。
少年はかすれた声で「わかったぉ」と答えた。まだ痛むのだろう。胸を押さえていた。
バージルさんは「では失礼します」と言って消えた。
えっ!
消 え た ?
わたしは目をこらして前を見つめた。
いやいや、待って。ちょっと落ち着こう。
ダンジョン内は薄暗い。
バージルさんの身のこなしが素早くて、その暗がりにまぎれて消えたように見えたんだよ、きっと。
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