第1章

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部屋に戻って制服をハンガーに掛け部屋着に着替えた。今日も皆にばれなかったことに安堵の息を漏らす。家に帰って、初めて僕は安心するんだ。 ベッドに横になっていると、コンコンとドアをノックする音が聞こえ僕は身体を起こした。 「はい」 「休んでるのにごめん、ゆうりくんさ、数学得意?」 数学のワークを持って、彼は僕の隣に腰をおろした。 「どの問題?」 「これなんだけどさ、どうしても分かんなくて」 「これはこの数字にこれをかけてから…」 自分が前の学校で習ったことをそのままそっくり教えた。 「あーそっか!ありがと!助かったよ!」 「いや…別に何も」 「本当疲れてるのにごめんね!ありがと!」 パチンと顔の前で手を合わせた彼は、颯爽と部屋からいなくなった。 「ふふっ…」 なんか…慌ただしい人…
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