80人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋に戻って制服をハンガーに掛け部屋着に着替えた。今日も皆にばれなかったことに安堵の息を漏らす。家に帰って、初めて僕は安心するんだ。
ベッドに横になっていると、コンコンとドアをノックする音が聞こえ僕は身体を起こした。
「はい」
「休んでるのにごめん、ゆうりくんさ、数学得意?」
数学のワークを持って、彼は僕の隣に腰をおろした。
「どの問題?」
「これなんだけどさ、どうしても分かんなくて」
「これはこの数字にこれをかけてから…」
自分が前の学校で習ったことをそのままそっくり教えた。
「あーそっか!ありがと!助かったよ!」
「いや…別に何も」
「本当疲れてるのにごめんね!ありがと!」
パチンと顔の前で手を合わせた彼は、颯爽と部屋からいなくなった。
「ふふっ…」
なんか…慌ただしい人…
最初のコメントを投稿しよう!