第2章

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上半身裸の彼。地面に落ちている、汚れた眼帯。彼らに何かされた事は明らかだった。ジュッジュッと火と水が混ざり合って音を立てているのは、きっと彼が泣いているからだろう。 「…ゆうりくん…」 ゆっくりと炎に飛び込み、彼を抱きしめた。 「…もえちゃうっ…はなしてぇっ…もえちゃうっ…」 「大丈夫…俺は灰だから…燃えないから…」 離してと暴れていた彼は、その言葉に安心したように俺の胸に顔を押し付けて涙を流した。 「…ふぅっ、うぅっ…」 「…家に帰ろう」 彼に服を掛け、背中に背負った俺は、眼帯を拾い上げポケットに入れ、その場を後にした。
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