第1章

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 いつの頃かそれは誰も知りません。誰も知らなくなって仕舞う程、 遠い古い頃の話なのだそうです。なのに世界中の誰もが知っている。  知ってるんです。だって私が知ってるくらいなんだから。  何もない所。というと、そこは白いでしょうか黒いでしょうか。 或いは他の色……無色かもしれませんね。この無色っていうのは、 透明って意味なんかじゃないんです。識別できないってだけです。  とにかくそんな所に突然に、小さな丸いものが、沸いたのです。 降ったのかもしれませんし、生えたのかもしれないけれど、まぁ、 丸かったのです。嘘かも。丸くなかったかも。でも、知ってるよね。  ね?誰もが知っているって言ったでしょう。そうです。星です。                *  星は自分以外に、ここは誰も居ない所だと気がついたそうです。 ですから、自分が星だとか、それよりも丸いとかも知らなかった。  そこで星は2つの最初の選択をする事にしたそうです。悩んで。 まだ星は学ぶ事が出来ないので、一生懸命悩んだという事ですね。  わずかな星と永遠みたいな空の、一緒にした勉強会。楽しい。  1つめの選択肢は、何もない所に、何か色や自分の大きさとか、 そういう事を考えてもいいのではないかなって、思ったのです。  それはそれは美しく輝いていながら、怖ろしく闇を無くす程に、 つまり無闇って事なんですけど、冒険的な気持ちだったそうです。  星にとっての大冒険。星はその大冒険をしてもいいのかなって。 そういう期待でワクワクしてみたり。キョロキョロしてみました。  そんなことしてもいいのか、わずかと永遠は相談もしました。                *  2つめの選択肢もあったのです。それは、もし星である自分は この何も無い所で、何か比べるものが他にあった場合の想像です。  わずかな時間で何かに会う、永遠に泳げば何か発見するかも。  想像してみて。星が他の何かよりも大きい場合が仮にあったら、 星の中に、小さな何かで一杯にして見守ってもいいのかなって。  君の心の奥に、貴女の宇宙に、そんなのがゴッチャリいたら。  汚らしいのは儀式に相応しくない。分相応でないと。  星の中一杯に賑やかになったら、いろんな運動やいろんな役割で 自由気ままに冒険してたら、星の冒険とどっちが楽しいのだろう。
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