第1章

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 星は悩みました。悩んで悩んで、そしてついにその火が来ました。 悩んでいた時間が長く、探していた場所も遠かったのですね。  火は最初に星に逢って言いました。「こんにちは。」 星はよく判らなかったしビックリしてたけど、「こんにちは。」と、 頑張って返事をしました。星が最初に言った言葉。  だから、世界に最初に生まれた言葉は「こんにちは。」                *  でも、その火は太陽では無かったんだよね。 ―― そう。その火は太陽で無かったの。  ちゃんと、覚えてるよ。それが星の火だったんだよね。 ―― うん。七色にクルクルと変わる自在な火。  けれど、その火が星に入るまでは随分かかったんだね。 ――それは当然だから。何も無い一つの火だからって、 勝手に星へ断りも相談もなく、入っていい事にはならないから。  駄目って言われていないのにね。 ―― 駄目な場合は無理やり入っても、何も無いしからね。 そこは本当の無で闇、前に話した無闇って何もないから。  でも、星は火と仲良くなった! ―― そう。星と火は仲良くなった。  僕と貴女のようだ。 ―― 私と君のようにね。                *  それからだ。世界も宇宙も複雑になって、密度が上がって。 何もかもが難しくなってしまうので、なるべくシンプルに。  火が届く熱量や明るさを調整し始めた。星には解らない。 けれども、仲良くなった火が頑張っているから応援したんだ。                *  応援に応えたいって思う程、火は強さを加減して暗くして、 星にいる目に見えない程、小さなモノ。山にある大木だとか、 海にいる珊瑚礁を、守って過ごしたから。  でも、わずかに火にとって、それは大変な仕事だったから。 星はどんどん、心配になってしまって。火山を作って、 その中で少し眠って休んだらって、相談したというわけ。  ところが火は、そのお礼に星の驚く事を話したの。                *  宇宙にある火と火の無数の火について。 ―― 日々というが無限にありそうで、明日消えてしまう。  星は言ったんだよね。どこかに行ったりしないでって。 ―― 火はどこにでも行くよ。それが火だからって。  星は泣いたね。 ―― 星は叫んだの。  火を消さないで。火を消さないで。赤く。紅く。                *
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