プロローグ

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「状況は?」 「依然硬直状態です。人質があれですからね……誰も責任を取りたがりませんよ。」 荒々しくドアを開け、部屋に入ってきた30代ほどの男性に20代の青年がため息混じりに答える。 「各国のトップが集まるこの会議を占拠するなんてどこのテロ組織だ」 「犯人は一人のようですしテロではなく単独犯での行動のようですよ?」 男性の愚痴のような呟きに青年は自分が聞いたことを話す。 「丸腰の単独犯にこんなこと出来るわけがないだろ!!」 「そんなこと言ったって事実なんですもん…」 理不尽に怒鳴られシュンとしながら青年が答える。 「それしても何がしたいんだこいつは…」 忌々しげに監視カメラからの映像を見つめながら本人に聞こえるはずのない疑問を口にした。 この時、誰も世界の常識が変わるなどおもいもしていなかった。
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