chapter1 チタニウムホワイト

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天海涼夏 小学5年生 夏休みに入り祖父母の家に行く 涼夏は真っ赤なギターを持って何日間か泊まる 祖父の部屋にはカセットテープが置いてあった さだまさし全曲集とラベルが貼ってある 涼夏はラジカセにカセットテープを入れて聞いてみる 曲に合わせて何度もギターを弾いた 歌も覚えた 最初はカセットテープの早さに合わせられなかった 曲を弾ける様になり涼夏は歌いながらギターを掻き鳴らす 祖父に聴かれて恥ずかしくなった 祖父は耳が遠くて聴こえていないのを期待した 祖父は涼夏の歌を褒めてくれた 祖父にギターの音は聞こえていない 真っ赤なギターの音は小さくて祖父の耳には届かない 夏休みが終わる頃に祖父からプレゼントされた 中身はミニアンプだった 通信販売で買った安物だと言って渡されたが涼夏は喜んでいた ミニアンプに電池を入れる 祖父の耳に聴こえる大きさで音を出す 曲はまだ1曲しか弾けないが祖父に聴かせる 祖父はまた聴かせて欲しいと言って褒めてくれた あれから祖父は亡くなりギターを聴かせる事も歌を聴かせる事も無い 祖父が褒めてくれた事を今も思い出す 涼夏はギターがもっと好きになった 今日の涼夏の思想 世の中には褒められて育つタイプと調子に乗るタイプが居るらしい
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