ひょっとこ

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これは僕が中学生の時に体験したお話だ。 その年は、まぁ、いつものだけれど、暑い夏だった。時期は夏休みに入っていてたまった宿題も適当に済ませて先輩数人と遊んでいた。最近ではめっきり減ってしまったけれど、テレビではオカルト番組が放送されていた。僕らはどうせやらせや偽物だろうと文句を垂れながらも暇つぶしにそれを見ていた。番組のアナウンサーらしき女が心霊スポットに立ち入ってわざとらしい悲鳴をあげる。 正直、退屈になり始めた頃だった。先輩が、 「なぁ、俺らも心霊スポットに行ってみようぜ」と言い出した。僕はあまり乗り気になれなかったけれど、後輩の立場で先輩の意見に反対する事もできないで、同意する人も居たので自転車で近くの寂れたお寺に行くことになった。 そのお寺は何年も放置してあるせいか、あちこちが痛んで、雑草は伸び放題、大きな大木は風が吹くたびにゆらゆらと揺れて薄気味悪くく、あまり近寄りたくない場所だった。 特にそういった噂があったわけじゃないけれど、中学生が行ける距離と言えばこれくらいが限度、先輩達もあちこち見て回っているけれど、これといった発見はなく、帰ろうかとなった頃、先輩の一声で呼び戻された。 「おーい、ここ開くみたいだぞ。入ってみよう」 とお寺の扉を開いて、先輩が僕らを手招きしている。中は薄暗くこの距離からは見えないけれど、鼻につく埃臭い匂いには行きたくはなかったが、ここで臆病と思われるのも嫌だったから我慢してついていく。 先輩は先に入っていて、中をあれこれ見て回っている。中の空気は外とは違い重苦しく、長居したいとは思えないが、おくの方に飾られた一つのお面にめがとまる。捻り鉢巻きによじれた唇、アホそうな目つきのお面が飾られていた。 「これ、ひょっとこだよな」 と連れの一人が言った。ひょっとこ、確か火男と言う意味だった思うが、それ以上は知らないし、興味もなかった。とにかく僕はそこから出たくてしたかなかったし。なにより、そのひょっことのお面を見ているととても嫌な気分になるのだ。ジッと視線を向けられているような気分の悪さがそのお面にはあった。僕の嫌悪感を無視して、先輩が、そのひょっことのお面を手にとってしげしげと眺めながら唐突にお面を被って、こちらを振り返り、ヒラヒラと手を動かして踊り始めた。何をふざけているんだろうと思ってしばらく見守っていても先輩はいっこうに
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