1人が本棚に入れています
本棚に追加
琴吹が扉を開こうと手を掛けようとした瞬間。
扉は勝手に開いた。向こう側から。
つまり冬杜が開けていた。
「あら、二人ともお揃いだね。さっきの爆音は2人だったんだ。祇園君はまだ帰ってなかったの?」
「今から帰る。というか、お前その量の仕事をもう終えたのか?」
「うん、終わったよ」
そう言いながら抱える何かのプリント束。
冬杜って本当凄いよなぁ。
「祇園君がいなくなって仕事の効率が死ぬほど上昇したのね」
「おい琴吹、ちょっとそれらしいこと言うのやめろ、傷付いちゃうだろ」
「いいじゃない、そしたら強くなって復活よ。ついでに見た目まで変わるわ」
「僕はフリーザかよ。なんでサイヤ人じゃないんだよ」
「うるさいわね、戦闘力たった4のゴミめ。こんなの放っておいて行きましょう、冬杜さん」
「じゃあ職員室に寄ってもいいかな?プリント渡したいから」
僕なんて初めからいなかったかのように、2人は仲よさそうに教室を離れて行く。
空気の如く、というか空気そのものの僕だけれど、まぁ、それもいいだろう。
2人仲良くなってくれれば、それでいい。
さて。僕も一度帰ろう。
そう思って、琴吹たちとは逆方向へ歩き出す。
ふと後ろから「また明日」の声。
振り返ると、手を振っている2人。
なんだ結局最後には優しいのか。
最初のコメントを投稿しよう!