ギオンクラブ

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琴吹が扉を開こうと手を掛けようとした瞬間。 扉は勝手に開いた。向こう側から。 つまり冬杜が開けていた。 「あら、二人ともお揃いだね。さっきの爆音は2人だったんだ。祇園君はまだ帰ってなかったの?」 「今から帰る。というか、お前その量の仕事をもう終えたのか?」 「うん、終わったよ」 そう言いながら抱える何かのプリント束。 冬杜って本当凄いよなぁ。 「祇園君がいなくなって仕事の効率が死ぬほど上昇したのね」 「おい琴吹、ちょっとそれらしいこと言うのやめろ、傷付いちゃうだろ」 「いいじゃない、そしたら強くなって復活よ。ついでに見た目まで変わるわ」 「僕はフリーザかよ。なんでサイヤ人じゃないんだよ」 「うるさいわね、戦闘力たった4のゴミめ。こんなの放っておいて行きましょう、冬杜さん」 「じゃあ職員室に寄ってもいいかな?プリント渡したいから」 僕なんて初めからいなかったかのように、2人は仲よさそうに教室を離れて行く。 空気の如く、というか空気そのものの僕だけれど、まぁ、それもいいだろう。 2人仲良くなってくれれば、それでいい。 さて。僕も一度帰ろう。 そう思って、琴吹たちとは逆方向へ歩き出す。 ふと後ろから「また明日」の声。 振り返ると、手を振っている2人。 なんだ結局最後には優しいのか。
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