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II
下駄箱で靴を履き替える。
赤くなった夕陽を浴びて、部活動の掛け声に揺られていると、僕を呼ぶ声。
「お、先輩。なに、一人ぼっち?」
「お前がきたから2人ぼっちだ」
「ギャハハハハ」
なに笑ってんだよ、コイツ。
「ッはは、つまらなすぎて笑けてくる」
「その態度本当に僕意外にはするなよ……」
もう何度目のセリフだろうか。
でも、こうでもしないと危なっかしいたらない。
そんな人間が噂の対象、宇津ッ来あえぎ本人だ。
「するわけないよ先輩。貴方だからこんな態度なんだ」
そんな発言、今では慕われている証拠だと、好かれている証拠だと言うことができるのだけれど。
2ヶ月も前は、逆に失望されていて、嫌われていた、そんな証拠だった。
「今ではすっかり仲良しだもんな、宇津ッ来」
「うん?先輩は慕ってるよ、なんの確認?意味もなくセーブしちゃうみたいな感じか?」
「地の文を喋っちゃう主人公って感じだよ」
「なるほどね。地の文を喋っちゃって、キャー、エッチな展開ね」
「いや違えよ」
と、まぁ。こんな風にゲームが大好きな女の子が宇津ッ来あえぎだ。
アッシュグリーンの髪の毛は、ピョンピョン無造作に跳ねていて、申し訳程度に一つに束ねた髪は胸前で跳ねている。
「本当お前普通にしてたら可愛いのにな」
「慕う先輩にそんなこと言われたら恐れ多いし素直に嬉しいけど、お前ってエロいなって言ってくれた方が興奮するよなあ、ギャハハ」
「その感じだよ、そのオヤジ属性。それがいけないだろ」
「おいちゃんから個性を奪ってどうしてくれるんだ。その他諸々奪ってくれるならいいけどな」
「本当揺るぎないな、お前」
そんな会話をしながら僕らは校門へと歩いていく。
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