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いや。ちょっと待て。
「おい宇津ッ来。僕らが話してるって噂されているのは知ってるか?」
「ん?知らないわけないだろう。先輩みたく鎖国してるんじゃないんだから」
「もう僕の鎖国話しは終わってるんだよ。いいのか話してて?」
「今更でしょ、先輩。いいんだっておいちゃんは」
───誰になんて思われようとも関係ない。自分が思ってればそれでいいんだ。と勝気な目を向けてくる。
そんな姿は何処か晴れ晴れしていた。
雨は降っていない綺麗な空にはまってる。
「そういえば宇津ッ来。今週末はコンクールなんだってな」
「うん、久しぶりの晴れ舞台。先輩のおかけで大勢の前に出られるからね」
「僕は何もしてない。言うなら、琴吹のお陰だろ」
前のコイツは、晴れを奪われていたからなあ。雨の才能に取り憑かれてたからなぁ。
ピアノのコンクール楽しみなのだろう。
「バイバイ先輩、琴吹先輩も誘っておいてくれよ」
「じゃあな、みんなで行ってやるから心配するな」
豪快な笑い声を飛ばしながら校門から消えていった。
さてさて僕も歩こう。
帰り道。
公園を横切るのが僕の通学路だ。
ここへくると未だに琴吹を思い出す。
自殺しようとしていた琴吹、それを見て駆け出す僕がいた記憶。
そんなマイナスな思い出も吹き飛ぶ自体が発生した。
どういうことだよ、勘弁してくれよ。
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