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大人。大人。子供。
その三人が、公園で野球をしている。
全て知っている人間だ。
どうしてこうも、この人たちが集まったんだ。
ピッチャーの大人は男用のシャツにショートパンツ。それに瓶底メガネ。
茶髪のゆるふわウェーブはチャラいお姉さんのそれだけれど。
手に持っている球はお札が張り巡らされたハンドボール。
「ほら構えろ、いくも」
「そのボール打つのって駄目じゃない~?」
バットを構えるのは……いや、あれはバットじゃないな。ピコピコハンマーだな。
それを持つのは長い茶髪女性。
大きい瞳を隠すようなヒゲメガネ、いやなんでだよ。
お腹一杯すぎる知人女性2人、残るは一人。
キャッチャーを務める男の子。
前髪をヘアゴムでちょんまげにして、綺麗な顔立ちの9歳児。
「へいへい、ピッチャーなよっちいですよ、いけますよ。知らない大勢見てますよ」
いや。僕以外は見ていないのだけれど。
というか、そういうメタ発言があいつのお腹一杯ポイント。
無視したい気持ちを抑えて、仕方ないという気持ちを押し得て。
「……通報されますよ」
絵面が怪しすぎる。
「お前か。見ればわかるだろ野球をしているのさ」とピッチャー。(これでも恩人)
「あらあら祇園さん、学校振りですね」とバッター。(これでも担任)
「祇園さんこんにちは。バミって待機で、台詞を言うのって大変ですね。というか壁ドンのくだり最高に面白くないです」とキャッチャー。(特になし)
「おい、日向。お前壁ドンのくだり見てないだろ。ここで野球やってたんだろ」
いつからやってたかは知らないけどさ。
「いや見てないです。読みました」
なに普通に読みましたって言ってんだよ。
どこに記してあったんだよ、そういうのはないことになってんだから。
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