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「失礼しまーす」
ドアの前には、女……いや、オカマのような人が立っていた。
「あら、いらっしゃい、お客さんかしらん?」
パーマをかけ、紫色のアイシャドウがやけに目立つ、完全なオカマだった。
「あっあの、間違いました」
とっさに僕はドアを閉めようとしたが「いいじゃないのよ? ちょっとくらいん」とオカマに手を引かれてしまった。
少しだけ抵抗したがオカマは、強い力で僕の手を引いており、ちょっとやそっとじゃ逃げられそうになかった。
語尾に、ん、とつけるが特徴的で気になった。
「リョウちゃん、カモよ~カモが来たわよん~」
部屋の奥に誰かいるのだろう。
オカマが仲間を呼んでいる。
しかもこのオカマ!
もう、カモって言ってるじゃねーか!
早く逃げなくちゃ!
絶対、奥から恐い人が出てくる。
しかし、オカマにがっちりと腕を掴まれて逃げようがない。
やっぱり、こなきゃ良かったか。
僕は、引きずられるように部屋の奥に連れていかれた。
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