いつもの金曜、午後5時半

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「……行きません」 「へ?」 「ぶつかってしまったことは謝ります。  でもすみません、失礼します」  そう言ってわたしは足早にそこを離れた……つもりだった。  すぐに彼らにまた囲まれてしまう。 「ちょっとー、君から仕掛けてきてそれはないんじゃない?  あそんでこーよー」 「すみません、もう帰らなきゃいけないんで!」 「えー、ちょっとでいいからさー」 「……行きませんっ」  どうしよう。なんだか頭が割れそうだ。  それが飲みすぎのせいなのか、今絡まれている状況のせいなのか、はたまた1日に2回も失恋したせいなのか、理由はわからなかった。  多分、全部だ。  彼らのナンパはなおも続いた。 「すぐそこだし。たのしいよー!」 「……やめてください」 「えー、俺たちでおごるし…」 「おい、お前らいい歳してなにしてんだよ」  ふいに、後ろから腕をひっぱられる。  バランスを崩したわたしは、ひっぱった男によりかかる形になった。  わたしはふと、彼の顔を見上げる。  ……こっちも、見慣れた顔。  でも、見たことないほど表情は険しい。
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