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「おいお前らおせーよ!なかなかこねーから来てやったぞー!」
「おー土森!彼女はもういいのかー?」
「いーのいーの、どーせ3番目だし。
……その子、どうしたの?お前の彼女?」
ツチモリ。
そう呼ばれた彼は、黒の髪、ストライプのシャツ。
そして見覚えのある顔で、さっき聞いたばかりの声をして……。
いくら酔っていても、さっきまであれほど好きだった人のことを、間違える訳なかった。
そう、何度見ても、左隅のカレだった。
「ちがうけどー、なんか逆ナンされちゃってー。
んじゃこの子も連れて行こうかーなんて言ってたとこ」
「へー、まぁいんじゃね。やっぱ女の子いると花があるしさ。
あ、おれ土森です、土森ユウジ。よろしくね」
「あ、てめー抜け駆けすんなよー!この女たらしー」
「うるせーよ、女の子が好きでなにが悪いんだよー」
頭がグワングワンする。
今まで憧れてきた彼。
クールで、真面目。
そんな風に思ってたのに。
彼の方は、わたしの顔すら覚えていなかったようだ。
……こんな形で、名前、知りたくなかったな。
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