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そのあと、彼らが食い下がることはなかった。
わたしはひたすら初瀬さんに支えられながら、二人で駅へと向かった。
「あの…驚かせてしまってすみません。それに変な風に呼んでしまって。
あいつらに明日香さんの名前を知られたくなかったんですけど、あーちゃんはなかったですよね……ごめんなさい」
「あ、あの、謝らないでくださいよ!すごく、助かりましたし。
てか、わたしの方がたくさん謝らなきゃいけないです。
ごめんなさい……」
そんなわたしの言葉に、彼は優しく微笑んだ。
「……もう、いいですよ。
でも、ご自身のことだけは、大事になさってくださいね」
彼の優しさに、また涙腺がゆるんだ。
彼は少しあわてて、それから、ハンカチを手渡してくれた。
もう……、なんでそんなに優しいんですか。
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