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そしてあれから一週間後。
金曜日、午後5時半。
我ながら単純だよなぁとか、のんきなことを思いながらも、わたしは意を決して、ドアの取っ手に手をかける。
ふと、店名を書いた看板が目についた。
そういえば、この名前、あるカクテルの名前に由来するって、聞いたような気がする。
壁にぶつかるハーベイさん。
そんな滑稽なネーミングと、ガリアーノのきいたバニラの甘い風味。
でも度数は高いから、ちょっと飲んだだけで酔ってしまう、いわゆるレディキラーの一種。
わたしは取っ手を押す。
ドアベルがカランと鳴って、中から聞きなれた声が聞こえた。
「いらっしゃ……あ、明日香さん。……いらっしゃいませ」
決まり悪そうな表情の彼。
でも、ちゃんと、わたしを見てくれている。
《Bar Harvey Wallbanger》
極上のレディキラーがいるこのお店のドアを、わたしは、明るい笑顔でくぐった。
完。
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