いつもの金曜、午後5時半

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《Bar Harvey Wallbanger》  店内には、小気味のいいジャズの調べが流れる。  客の気配を察知した初老のマスターが、 「いらっしゃい、明日香さん」 と静かに優しく言った。  ここの雰囲気はいつも、わたしをオトナな気分にさせる。 「こんばんは、マスター」  そう言ってわたしは、手近なカウンター席に腰を降ろした。  辺りをキョロキョロと眺める。  ……あの人は、どこだろうか。  そんなわたしの様子に気づいたのか、マスターは優しい口調で声をかけた。 「初瀬くんならちょっと買い物に行ってもらってるよ。  もうすぐ帰ってくるとは思うんだけどねぇ」 「あ、やっぱり、ばれてましたか…」  そうわたしがいうと、彼はニッコリと笑った。
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