いつもの金曜、午後5時半

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「……惚れたもん負けってやつですかね」  少し困ったような顔を浮かべながらも、彼は手際よくボトルを並べ出した。  シェイカーがきらりと光る。わたしは続けた。 「なんか、気になっちゃうんですよねぇ。どんな人なのかな、って。  そしたら、いつの間にか好きになってるんですもんね」 「あの方は、あまり自分のことをお話になりませんからね。  ……協力できなくてすみません」 「いやいや、話を聞いてもらえるだけで嬉しいんです。  初瀬さんとお話するの大好きなんですよ。  なんか、お兄ちゃんみたいで」  あはは、と彼は笑った。
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