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弟はテーブルの上に置かれた惣菜を見るや否や怪訝な顔をする。
「また惣菜かよ。あんた色気無さすぎ。結婚できないよ、そんなんじゃあさ」
ハンッと嫌味な笑みを浮かべる弟。
「うるさい、蓮司! この世は広いんだから! 私みたいな料理ができない女子でも良いっていう優しい王子様だっているの!」
そう豪語し唐揚げを勢いよく口の中に放り込む。
「うわっ、女子って何? しかも王子様とか夢見ちゃって。一体いくつだよ……」
イラッときた!
こう言うときに年齢を持ち出してくる奴って嫌い!
「なんなのよ、あんた! 口答えするなら出ていってもらうわよ。こっちはあんたを善意で居候させてやってるんですからね」
本当は一人暮らしをするはずだったのに。
弟の通う専門学校が近くにあるというだけで転がり込んでくるんだもん。
おまけに居候させてやる代わりの条件だった炊事洗濯も最初だけで、この頃は全くしないしさ。
私が料理できないダメ女ってんなら、あんたは約束を守れないダメ男だっつーの!
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