始まりの町へ

10/14

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「そうだ、このまちを破壊しよう」 「いや、なんでそうなるの!?なんで「京都行こう」みたいなノリでそんなこと言うの!?」 「私のこの悲しみはそうでもしないと収まらないのです」 「なんて小さい男なの!!」 あぁ駄目だ。 バカみたいだけどディロアは本気だ。 本気でバカだ。 ディロアの立っているところが段段氷に変わっていく。 じわじわと、その範囲が広がっていく。 私は大声で叫んだ。 「勇者ぁあ!自分の町が破壊されたくなかったら出てきてよぉおおぉお!」 村人は怯えたり泣いたり逃げたり様々な行動を見せている。 そんな村人を守るのが私が憧れた勇者の仕事だと思うの。 ここで出てこない勇者なんて勇者じゃない。 勇者がでてこなかったら、私がディロアと戦うんだから! 「勇者様は、昨日魔王を倒しに魔界へいかれました」 ………え? え?ちょ ………まじで?でじま?入れ違った感じ? 私がディロアと戦うんだから! 自分の心の声が脳内再生される。 目の前の氷男に勝てるとは思えない。 冷や汗がダラダラ流れる。 行くか?私が行くしかないか?逝くしかないよね? 「今居るのは、勇者様の弟のみです」 「え、弟?」    つぶやくと同時に、一人の小さな男の子が一軒の家の扉を叩きながら叫ぶ声が聞こえた。 「ユーリス!助けてー!魔王がきたー!ユーリス、エリク様の弟でしょ、勇者様なんでしょ、助けてー!」 「俺は弟だから兄貴みてーな力はねーよ」 「ウソだ、だって皆言ってたよ、エリク様は凄く強いって!ユーリスだって強いんでしょー!」
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加